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清水焼が好きだった母のお気に入り、菊柄の中鉢。30年以上も前に、茶わん坂(京都五条・昔は窯元、今は陶器店が並ぶ清水寺への坂)の馴染みのお店で手に入れたものである。

母の亡くなった後もずっと実家で使われていた。二年前、実家がこちらへ移動することになった際、妹のたっての希望で、嫁入り道具として上海に渡ったのである。自分の手元に来ると思っていた私は、ガッカリしたものである。

札幌のデパートで見慣れた器を目にしたのは、私が新しい実家(おかしな表現だが)の準備に奔走していた時だった。少々丸みを帯びてはいるが、作者ももう一線を退いて後継者に継承されているのだろう。大量に出回っているものではないし、今買っておかないと後悔する・・・・と飛びついて、嬉々として食器棚に並べたのである。

妹が持っていくことに何の異論もなかった父なのだが、それからはこの器でご飯を食べるようになった。父曰く「こっちの方が食べやすいんや」。しかし、浅く薄い器は、ご飯をよそうにはどう考えても不向きである。父のテレ隠しなんだろう。それを妹に話したところ、今回その器を担いで帰国した。母の選んだ器にそこまで思い入れがあるなら、父の元に置いてあげようという心遣いである。

初めて、新旧の器を並べてみることができたのだが、人間の記憶がどんなに曖昧であるか、まざまざと見せつけられた。実際に手に取ると、形の違い、柄の違いが明らか。それに加えて、経年変化の色褪せが逆に味わいになっていることもよくわかる。
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左が30年前の器。

(妻)
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by noru_nao | 2008-03-16 09:21 | 妻のあれこれ | Comments(1)
Commented by at 2008-03-16 10:42 x
やっぱり本家が別格やね。
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