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上海ってば、もぉ。 -その5-
今日はちょっとだけ重たい話題で。

動物園の帰り道、我々は浦東から地下鉄で中心部まで戻った。車内には普段の生活を送る上海の若者たちもたくさんいて、とても興味深く観察してきたのである。(妹曰く「自分らもじゅうぶん観察されてたで。」 あ、さよか。) 油性マジックで手描きのアートを施したズックのバッグを下げた男の子。日本語の「キターーッ!」(←2ちゃんねる語?)と、毛沢東の似顔絵が混在してるのがすごくオモシロくて、Chinese Punk とでもいいましょうか、きっと精一杯自己主張してるのね。でも、髪型はとてもキチンとしてるところがまたさらにオカシくて。写真撮れなかったのが残念でならない。

と、面白がってるだけでいられたらよかったのだが。

上海は今、たぶん、世界で一番急速に発展してる街ではなかろうか。その発展のひずみに生まれた暗い部分も目の当たりにしてしまった。

龍陽路駅だったと思うが、人がたくさん乗降した後、13、4歳だろうか、若い男の子たちが、格安航空券のチラシらしい名刺大のカードを空いている席や座ってる客の膝に、素早く投げて走り去る。妹によると、中国の貧しい地方から出てきた子供たちが、学校にも通わずにそうやって働いているのだとか。しかし、よくテレビのドキュメンタリーで取り上げるようなみすぼらしい身なりの子供たちではなく、どちらかというと、カジュアルで小綺麗な印象だった。ちょうど日本の中学生のような。「生きるために仕方なく」ではなく、「自分の欲求を満たすために進んで」と感じたのは、奢った見方だろうか。

さらに衝撃的な場面にも遭遇した。座っている客の前に、小銭の入った紙コップを差し出しながら車両を移動する少女。紙コップを手にした物乞いは、豫園にも外灘にもたくさんいた。しかし、そのほとんどが高齢者だった。地下鉄のこの少女は、年齢も判然としないほど顔中がケロイドになり、その手には短い指が3本しかなく、しかも外側に大きく曲がっている。正視できず咄嗟に顔を背けたつもりだったのに、鮮明に脳裏に焼きついている。なぜその姿になったのか、なぜ少女だと思ったのか、なぜ物乞いをしなければならないのか・・・・・・。

楽しかった旅行の記憶のすき間に、未だにふっと浮かぶ強烈なシーンだ。

(妻)
by noru_nao | 2006-11-07 09:30 | 上海
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